こんにちは!Instagramで日々、植物たちの成長や失敗と向き合っている、ヒロセです。
塊根植物の育成で、誰もが一度はぶつかる最大の壁。それが「水やり」です。
僕もこの趣味を始めた2021年頃、この「水やり」が怖くてたまりませんでした。「水をあげれば根腐れしそうで、あげなければ枯れてしまいそうで…」。鉢を前にして、水差しを持ったまま固まってしまった経験は一度や二度ではありません。
そこで今回は、僕が数多くの株を育て、そして残念ながら枯らしてしまった経験から導き出した、「失敗しないための水やり3つの鉄則」を、僕自身のリアルな感想と共にご紹介します。
この記事を読めば、「いつ、どのくらい」水をあげるべきか、もう迷わなくなりますよ!
大前提:『週に〇回』という考え方を今すぐ捨てる
まず、一番最初にお伝えしたいことがあります。それは「水やりは週に〇回」というような、決まったスケジュールで行うものではないということです。
なぜなら、植物が水を必要とするタイミングは、季節、その日の天気、鉢の大きさや素材、土の水はけ、そして何より植物自身のコンディションによって、常に変化するからです。
僕たちが学ぶべきは、決まったスケジュールではなく、植物と土が出す「サイン」を読み取る方法です。植物との対話、それが水やりの本質だと僕は考えています。
失敗しないための水やり3つの鉄則
それでは、僕が常に心掛けている3つのルールをご紹介します。これさえ守れば、水やりでの大きな失敗は確実に防げます。
鉄則①:土の中まで「完全に乾いた」のを確認する
なぜ重要か?根に呼吸の時間を与えるため
塊根植物の根も、私たちと同じように呼吸をしています。土が常に湿っていると、根が呼吸できずに窒息してしまい、それが「根腐れ」の直接的な原因になります。土が完全に乾く時間を作ってあげることで、根はしっかりと呼吸し、健康を保つことができるのです。
ヒロセ流・乾き具合のチェック方法
「完全に乾いた」をどう判断するか。僕が実践している3つの方法です。
- 鉢の重さを覚える【一番確実!】: これが一番確実です。水やり直後のずっしりした重さと、カラカラに乾いた時の軽い重さを手で覚えておくと、鉢を持っただけで水やりのタイミングが感覚的に分かってきます。
- 竹串を刺す: 乾いた竹串を土の奥まで刺して、数秒後に抜いてみます。土が湿っていれば串に土が付着したり、湿り気を帯びたりします。何もついてこなければ、乾いているサインです。
- 指で土を掘る: 少し原始的ですが、鉢の縁の土を指で2〜3cm掘ってみて、中の湿り気を確認するのも有効です。
鉄則②:与える時は「鉢底から流れ出るまで、たっぷり」と
なぜ重要か?根の隅々まで水を届け、老廃物を流すため
土が乾いたのを確認したら、いよいよ水やりです。この時、表面が湿る程度の「ちょろちょろ水やり」は絶対にNGです。
鉢の中の土全体に水を行き渡らせ、古い空気を押し出し、土の中の老廃物を洗い流すイメージで、鉢底の穴から水が勢いよく流れ出るまで、たっぷりと与えてください。
ヒロセの注意点:受け皿の水は必ず捨てる
たっぷり水やりをした後、受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。これを放置すると、鉢底が常に湿った状態になり、せっかく水はけの良い土を使っても意味がなくなってしまいます。僕はこれで一度、大切な株を腐らせてしまいました…。
鉄則③:植物の「顔色」をうかがう
なぜ重要か?植物自身が最高の水やりセンサーだから
土の乾き具合と合わせて、植物自身の様子を観察することが何より重要です。植物は、水を欲しがっている時にちゃんとサインを出してくれます。
具体的なサインの見極め方
- パキポディウムの場合: 健康な時はパンパンに張っている幹が、水を欲しがると少しだけハリがなくなったり、表面に細かいシワが寄ったりします。この「お腹すいたよ」のサインを見極められるようになると、水やりの精度が格段に上がります。
- アガベの場合: 水分が足りていないと、肉厚な葉が少しだけ薄くなったり、葉が普段より内側に閉じ気味になったりします。
このサインを見極められるようになってから、僕の水やりでの失敗は劇的に減りました。毎日植物をよく観察することが、何よりの上達への近道です。
【応用編】季節ごとの頻度と量の見極め方
3つの鉄則を基本としながら、季節ごとの特徴も押さえておきましょう。
春・秋(成長期):水やりのベストシーズン
葉がどんどん展開し、最も成長する季節です。「乾いたらたっぷり」の基本ルールに沿って、メリハリのある水やりを心がけましょう。
夏(休眠期 or 成長緩慢期):蒸れとの戦い
多くの塊根植物は、日本の高温多湿の夏は少し苦手です。成長が緩慢になるため、水の吸い上げも鈍ります。水やりの頻度は春・秋より落とし、日中の暑い時間帯は避け、夕方の涼しくなった時間帯に与えるのが基本です。
冬(休眠期):『断水』の勇気を持つ
多くの塊根植物は、冬になると葉を落として休眠に入ります。眠っている植物に水を与えても吸い上げることができず、根腐れの原因になります。葉が全て落ちたら、基本的には春に芽吹くまで完全に水を断ちます。「本当に大丈夫?」と不安になりますが、この「断水の勇気」が、無事に冬を越させるための重要なポイントです。
まとめ:水やりを制する者は、塊根植物を制す
「水やり3年」という言葉があるように、水やりは非常に奥が深いですが、今回ご紹介した3つの鉄則を守れば、決して怖いものではありません。
- 土が完全に乾いたのを確認する
- 与える時はたっぷりと
- 植物の顔色をうかがう
スケジュールに縛られず、あなたの植物と対話するように、じっくり向き合ってみてください。その先に、植物を元気に育てる本当の楽しさが待っています。